イタリアの各メディアは21日、インテルとラニエリ氏が2年契約を結ぶことで合意に達したと報じている。
『RAI』のサッカー番組でコメンテーターを務めていたラニエリ氏はこの日、次のように語った。
「最初に何をするか? チームとしっかり話をする必要があると思う。精神面が重要だ。インテルは素晴らしいチームで、出だしは間違えたが、流れを変える必要がある。選手たちはいるし、チームが立ち直るためのすべてがある」
ガスペリーニ前監督は3バック主体の戦術にこだわったが、クラブ首脳陣やチームは従来どおりの4バックを望んでいると言われる。ラニエリ氏は戦術について聞かれると、次のように述べつつ、ガスペリーニ前監督の挑戦を批判すべきではないとの見解を示した。
「4バック? 私にとっては、すべてのシステムが勝者のシステムだ。インテルがあるやり方をずっと続けていたのなら、それには理由があるはずだろう。ガスペリーニは自分のアイディアを持ち込もうとした。それは正しいことだ」
「彼は自分のフォーメーションを機能させようと、あらゆる手段を尽くした。だが、成功はしなかったんだ。私は、批判できないと思う。彼は自分のアイディアを最後まで推し進めようとしたんだ」
また、インテルの目標について問われると、ラニエリ氏は「約束をするのは好きじゃない。私は選手たちから最大限を望むだけだよ。彼らにやれることはたくさんある」と話すにとどまった。
ではここからコラム。
まず、ラニエリ監督の特徴は1に守備、2に守備、3,4がカウンターアタックで5が若手育成。
一般的には、ラニエリ監督の元で飛躍的な成長を遂げたクラブは多い、しかしタイトルにはあまり縁がない監督、という見方が多い。
1997年にバレンシアの監督に就任し、下部組織上がりのガイスカ・メンディエタやミゲル・アンヘル・アングロを育て、カウンターアタックからの攻撃スタイルを確立し、2シーズンの間にバレンシアを上位争いに食い込むチームへと成長させた。
また2004-05、2005-06とプレミアリーグ連覇を誇ったチェルシーではその時指揮を取ったモウリーニョ監督に注目ばかり集まるが、その3年前からラニエリ前監督が、当時まだアカデミー上がりの若手だったジョン・テリーをキャプテンに、フランク・ランパードをチームの中心に据え置き、さらに当時どこのチームもおそまつなザル守備が目立ったプレミアリーグでチェルシーに徹底した守備戦術を根付かせていたということが大きい。実際03-04シーズンはチームは2位。チャンピオンズリーグではベスト4という成績を収めた。
2009年には古巣であり出身地のクラブでもあるASローマの監督に就任。実利優先の堅実なサッカーを導入し、チームを上昇気流に乗せることに成功。優勝したインテルと勝ち点2差の2位でシーズンを終えた。
ここまでがラニエリ監督の主な功績だろう。しかし彼はさびれた中堅チームを上位に食い込ませるということに関しては間違いなく一流の監督だが、タイトルを獲得することが条件となっているビッククラブを率いるには?マークがつくかもしれない。
まず第1に彼はチェルシーやローマ、バレンシア、ユベントスなどビッククラブを率いた経験のある監督とどこのメディアにも書かれているが、チェルシーではアブラモビッチオーナーによる大量補強でビッククラブになる前の中堅チームとしてのチェルシーを率いていたし、バレンシア、ローマ、ユベントスはいずれも成績低迷が続いた中での就任だ。その中で1年目はチーム改革に成功するがタイトルには手が届かない。2年目では成績不振に陥るというジンクスがある。
今回のインテル監督就任も成績低迷の中での就任となったが、オーナーのモラッティ会長はこの夏、現イングランド代表監督のファビオカペッロ監督や今季からチェルシーを率いているアンドレビラボアスやマルセロビエルサなど招聘に熱心だったがいずれも破談している。モラッティ会長はそもそもガスペリーニにもラニエリ監督にもそれほどの期待はしていないという見方もできる。
戦術的な話はまだ言及していないラニエリ監督だが、彼が採る戦術はおそらく3バックシステムではなく最終ラインに4人を並べた守備的な布陣であることは間違いないだろう。
さて気になるのは長友がスタメンで起用されるかというとこだが
今週末ボローニャ戦のガゼッタ誌による予想フォーメーションは4-3-1-2で長友がスタメンに入っている。
せーザル
長友
ルシオ
サムエル
キブ
サネッティ
カンビアッソ
オビ
スナイデル
フォルラン
パッツーニ
先日のノヴァーラ戦でも長友はチーム3位となる高採点がついており、低調なパフォーマンスが続くメンバーの中で一人奮起を見せている。もともと長友は4バックシステムでの右サイドハーフを追い越す果敢なオーバーラップと90分間全力ダッシュを続けても疲れを知らないスタミナに特徴がある選手。ガスペリーニ監督の3バックシステムでは比較的高い位置を取らざるを得ない長友には前にスペースがなく、持ち味を生かせる場面が少なかった。
ラニエリ監督はSBに求めるのは第1に守備とライン統率。長友にはまず徹底した守備意識が求められるだろう。数少ない攻撃チャンスの中でいかに自分の持ち味を出せるか難しいところだ。
さらに長友にとっては悪いニュースがある。
右膝の負傷で戦線離脱していたブラジル代表DFマイコンが全体練習に復帰したことをクラブの公式HPで発表されている。 今週末の試合からいきなりマイコンが先発起用される事はないだろうが、もしマイコンが完全復活すればより守備能力に重きを置くラニエリ監督が右SBで先発起用されるのは容易に想像がつく。
左SBとしてももちろんプレイできる長友だがそこはキブとのポジション争いになるだろう。さらに今調子のいいオビもそのポジションでプレイが可能。
長友には厳しい現状だが周りにあまり囚われずこのままの高パフォーマンスを維持することに専念することが一番の秘訣だろう。
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