1990年代半ばにイングランドの地を踏んだ元アメリカ代表ゴールキーパーのブラド・フリーデルは、それから今日まで15年の期間でプレミアリーグのキーパー事情について語っている。
「私が初めてこの国に来た時、イングランド人じゃないにしても英国人(スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)かアイルランドの優秀なキーパーがどのチームにもいたんだ」
「リザーブでプレーした経験が私にはないからなぜ上手くいっていないのかは分からないが、おそらく結果が重視されているのだろう。過去の実績にこだわり過ぎてたり、金銭的に外国人選手の方が確保しやすいのも理由かもしれないね。いろんな原因があるんだろう」
「ジョー・ハートが優れたゴールキーパーだという声もあがるし、ベン・フォスターやスコット・カーソンもそうだ。クリス・カークランドは本当に良い選手だが、負傷を抱えての出場となっている。デイビット・ジェイムスもそうだ」
「だけど、イングランド人キーパーの名を容易に10人は挙げられたかつて程ではない。シーマンにフラワーズ、ウッズにマーティンとすらすらと挙がってきたものだった。ウェールズ人ではサウスオールにディブル、アイルランドならボナー、アラン・ケリー、シェイ・ギブン。もっといっぱいいたよね」
さらにイングランド・メディアや国民の過剰なまでの選手へのバッシングも、キーパーの成長の妨げとなっているとフリーデルは語る。記憶の新しいのは2008年のユーロ予選、アウェイでのクロアチア代表戦。ギャリー・ネビルのバックパスが、めくれ上がった芝生でイレギュラーバウンドし、当時スパーズのポール・ロビンソンの振り込んだ足をかすめてゴールに吸い込まれた場面を例にフリーデルは説いている。
(参考)EURO08予選_CROvsENG_ポールロビンソン
「バックパスを受けたが、芝の盛り上がったところにボールが当たってしまい、彼には為す術がなかった。なのに周囲の声は、彼が大失態を犯したかのようなものだった。まったく、ゴールに向けたあんなパスをしちゃいけないんだよ」
「あの当時に新聞紙で『大失態』の見出しを見たよ。しかしなんでだ?国中が彼を責め立てる意味があるのか?信じられないことだ。あれはロビンソンのミスでは無い。原因は他にある。デイビット・ジェイムスとは一緒にやっていたことがあるから、彼の風変わりなところを私は知っているし、キーパーとしてもエキセントリックだ。しかし、些細なミスに対して周りは彼を責めすぎていた。本人はそんな声にも上手く対応していたけどね」
「(2010年ワールドカップで)ロブ・グリーンもミスをした。まぁ、報じられるべきものだっただろう。しかし、日が経てば終わりにすべき話題だよ。こっちではいつまで経ってもネチネチと続いてしまう。グリーンは3年間も非の打ち所が無いフットボールを続けてきたが、1つのミスを犯したことで周囲はずっと騒ぎ立てる。ここではそんな感じなんだよ」
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