日本のACLとの関係は複雑だ。現行方式になってから、日本のクラブが優勝したのは2回だけ。ほとんどの日本のクラブは、グループステージを突破するものの、ベスト16の壁を越えられない。国内で優勝争い常連の鹿島、名古屋、G大阪といったチームが日本を代表して出場しているにもかかわらず、予想を超えて勝ち進むチームはいない。
結果として、1つのパターンがくっきり浮かび上がる。先に進めなかったチームは、国内リーグ終盤の11月にはJリーグで優勝争いをしているのだ。今回の疑問への明確な答えではない。だが、なぜ日本のクラブが他のどんなチームにも劣らない力を持ちながら、アジアのトップクラブが集う大会で好成績を挙げられないのか、その理由を示唆するれっきとした事実が存在する。
07年以降のJリーグ勢のACLとJリーグでの成績 |
年 | クラブ | ACL最終成績 | J1最終順位 |
2011 | C大阪 | ベスト8 | 現在11位 |
2011 | G大阪 | ベスト16 | 現在1位 |
2011 | 鹿島 | ベスト16 | 現在7位 |
2011 | 名古屋 | ベスト16 | 現在3位 |
2010 | G大阪 | ベスト16 | 2位 |
2010 | 鹿島 | ベスト16 | 4位 |
2010 | 川崎F | グループステージ敗退 | 4位 |
2010 | 広島 | グループステージ敗退 | 4位 |
2009 | 名古屋 | ベスト4 | 9位 |
2009 | 川崎F | ベスト8 | 2位 |
2009 | G大阪 | ベスト16 | 3位 |
2009 | 鹿島 | ベスト16 | 優勝 |
2008 | G大阪 | 優勝 | 8位 |
2008 | 浦和 | ベスト4 | 7位 |
2008 | 鹿島 | ベスト8 | 優勝 |
2007 | 浦和 | 優勝 | 2位 |
2007 | 川崎F | ベスト8 | 5位 |
過密日程
ほとんどのJリーグ1部(J1)のチームが今年は3月5日のリーグ開幕に合わせて準備を進めていたのに対して、ACLに参加する4チームは、一足早く3月1日にシーズンを始めていた。その日に名古屋は、中国で杭州緑城と対戦している。日本からのACL出場チームはこのような状態で、リーグ開催中のミッドウィークにもシンガポールほどに距離の離れた地への遠征を強いられる。
リーグはこの負担を軽減しようと試みているが、この過密日程はしばしばACL出場チームのスロースタートを誘発している。今年も8試合を終えた段階で、G大阪は8位で名古屋は12位、C大阪は15位に沈み、さらにその下の16位に鹿島がつけるという状況だった。アジアのトップクラブには、まるでふさわしくない順位だった。
さらにはJリーグカップというものがある。ACL出場チームは、グループリーグの免除が認められている。通常であれば決勝トーナメントは9月から11月に行われるのだが、この時期はACLの準々決勝や準決勝と重なる。これまでも、サウジアラビアやクウェートといった遠く離れた地が試合会場となった。
また、日本中のチームが参加する天皇杯もある。FIFAのクラブ・ワールドカップやスーパーカップといった大会に出る可能性もあり、2月下旬から翌年の元日まで試合に臨むチームが出ることもあり得る。そして1月1日から数週間もすれば、また同じことが始まるのだ。
アウェーでの苦しい環境
隣国の中国と韓国との複雑な歴史のために、両国の代表チームやクラブレベルでの対戦ともに、時に危険な事態に発展する。こういった試合の応援のために遠征する日本のサポーターに、相手の反日感情を危惧するクラブから、集団で行動するようにとの忠告が出ることもしばしばだ。
いまだに事件が起こらなくなることはない。先週火曜日の試合でも、全北のサポーターが3月の東日本大震災を揶揄(やゆ)する横断幕を掲げた。さらには、ピッチ入場の際にC大阪の選手に向けて金属製品が投げ込まれたとの報道もあった。
こういった話は、珍しいものではない。日本のチームが中国や韓国に乗り込むと、練習場に物体が転がっているとの報道がときどきある。こういった行動を取るサポーターは少数だ。だが、何千マイルの彼方でもファンがスタンドを埋める浦和のようなチームもあるというのに、そういった迎え撃つサポーターの行動がファンに遠征をためらわさせることもある。
フィジカルプレー
全北との試合では、C大阪のMFキム・ボギョンが接触プレーの際に鼻の骨を折るという最悪の展開に見舞われた。その後には、DF扇原貴宏が右目の上を5針縫う裂傷を負わされた。
こういったこともまた、ACLでは珍しくない。こういった肉弾戦に慣れていない日本の選手が、毎試合大ケガのリスクにさらされているような状況だ。川崎Fの中村憲剛は2010年の城南一和戦であごを骨折し、Jリーグでの開幕2カ月間を棒に振った。鹿島のオズワルド・オリヴェイラ監督のACL戦後の会見は、いつも相手のラフプレーに関するコメントからスタートする。
審判の質にしろ、他国リーグのフィジカルプレーにせよ、問題であることは間違いない。ラフプレーに対して、自分たちのスター選手が守られていないと信じる日本のクラブにとっては、この状況は問題なのである。
解決策は?
アジアという舞台が国内での戦い以上のものであるかという議論も、ここでは無関係ではない。ピッチに足を踏み入れる時はいつでも、選手は自分たちのユニフォームに誇りを持つべきである。
これまで挙げた理由があるために、Jリーグは負傷であれチームのパフォーマンスであれ、日本のクラブの選手たちが脅威を感じないで済むように手を講じていく必要がある。おそらくアジアサッカーのトップに立つ国として日本は、ラフプレーの根絶やファンの不適当な振る舞いを許さない努力、審判の基準の改善など、ポジティブな変化をもたらすようアジアサッカー連盟に対して働きかけていく必要がある。
どれほど達成できるかはまた別の疑問ではあるが、Jリーグや日本のスポンサーがACLをボイコットしたならば、リーグが自分たちの選手を気にいているとの明確なシグナルを送ることになるだろう。世界のサッカー界でもトップ国の一つとみられるにふさわしい国であることを、日本はこれまでに証明してきた。今度はAFCが、このような国をメンバーとして擁するにふさわしい連盟であると証明する番である。
http://www.goal.com/jp/news/1579/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB/2011/10/03/2694001/%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%81%AA%E3%81%9C%EF%BD%8A%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0%E5%8B%A2%E3%81%AF%EF%BD%81%EF%BD%83%EF%BD%8C%E3%81%A7%E5%8B%9D%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%8B
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