そこで開幕に向けて知っておきたいチーム事情の特集記事です。
ブラックバーン
1875年に創立されたブラックバーンは、フットボール・リーグ創立時のオリジナルメンバーであり、またプレミアリーグでも優勝経験のある数少ないチームの一つである。しかし、近年は05-06シーズンの6位を最後に余りぱっとした成績は残せていない。昨季はその前年に続きアラダイス体制でスタートしたが、ピッチ外のゴタゴタが監督解任に発展し、その余波を食ってチームは危うく降格しかける始末。今季は、昨季アラダイス解任後にチームの指揮を任されたキーン監督が引き続きその任にあたることになるが、8月初頭の時点で目立った補強をしていないチームのマネジメントは厳しいものになるだろう。現実的に考えて現有戦力で高い競争力を求めることは厳しいが、伝統のタフネスを取り戻すことができれば、上位陣にとって決して楽な相手ではない。
ボルトン
オーウェン・コイル監督のチーム改革が実を結んだ昨季のボルトンは、それまで長らくチームカラーとして定着していた「放り込み」フットボールから長短のパスを織り交ぜた近代的なテクニカルなフットボールへとスタイルの変貌を遂げることに成功した。最終的にリーグの順位は14位と、結果が残せたとは言い難いが、クラブ全体が今季へつながる手応えを掴んだはずだ。空中戦で無類の強さを見せるデイヴィースと、その攻撃を一列後ろでサポートするイ・チョンヨン、ホールデンらがピッチで描き出すフットボールは魅力的である。オフには、タフな中盤の仕事人であるレオ・コーカーや、天才肌のイーグルスを獲得しており、スタリッジの獲得(再レンタル)と、最終ラインの要であるガリー・ケイヒルの引き止めが叶えば、ワンステップ上の舞台が見えてくるだろう。
リヴァプール
昨季、リヴァプールは自身が保持していた18回のリーグ戦最多優勝記録をとうとうマン・ユナイテッドに更新されてしまった。それどころか、開幕前に招聘したホジソン監督がチーム作りに失敗し、序盤は下位グループに埋もれる羽目に。しかし、年明けにクラブの英雄、ダルグリッシュが監督に就任すると、冬場の移籍で獲得したスアレスの大活躍もあり、チームは見事に息を吹き返し、6位まで順位を上げることに成功した。このオフは、ダウニング、アダム、ヘンダーソンと精力的に補強を敢行しており、これで余剰戦力の整理とディフェンスラインの補強が適えば、昨季終盤の勢いを持続し、一気にトップレベルの争いに加わることも可能だろう。尚、本拠地のアンフィールドで大合唱される応援歌"You'll never walk alone"を目の当たりにし、己が耳で聴く事はフットボールファンの憧れである。
エヴァートン
1992年のプレミアリーグ設立以来降格を経験したことがないエヴァートンは、過去に9回のリーグ優勝を成し遂げた名門チームである。就任11シーズン目を迎える名将モイーズ率いるチームは、限られた予算の中、ここ5シーズンは常に上位陣に次ぐ順位につけている。昨季も、シーズン序盤に苦しみ、下位に埋もれる時期があったにもかかわらず、シーズン中盤から盛り返しを見せ、最終的にはリヴァプールに次ぐ7位でフィニッシュしている。今季の課題は、シーズン序盤に於ける競争力の獲得である。シーズンを通して常に上位陣に次ぐポジションでコンピートし、最終的には欧州カップ戦の出場権争いに加わりたいところである。それには、ジャギエルカ、ベインズ、コールマン、ケイヒル、アルテタ、フェライニなど、現有戦力の引止めが必要不可欠である。
ストークシティ
陶器の町として知られるストーク・オン・トレントに本拠地を構えるストークシティはポッターズ(陶器職人)の名で親しまれ、クラブチーム創立の年は1863年と、その歴史は多くのチームが19世紀末に誕生しているイングランドのフットボールクラブにあって突出して古い。今季で5シーズン目となるピューリス監督率いる現代のストークシティは、2008-2009シーズンのプレミア昇格以降、限られた戦力でリーグ中位の座を確保し続けており、そのフィジカルを前面に押し出したシンプルなフットボールのスタイルも成熟の域に達している。昨季のリーグ戦は13位と、念願のトップ10フィニッシュはならなかったが、FAカップでは決勝へ進出し大躍進を遂げた。決勝ではマン・シティに破れはしたが、この準優勝により今季のUEFAヨーロッパカップ出場権を獲得し、ついにワンステップ上の境地を切り開くことに成功した。
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