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2011年9月8日木曜日

【特集】いよいよ開幕のセリエAを見よう!第1弾ASローマ編

今シーズンASローマは何かもが新体制となった。まず18年間ローマの実質的支配者であったセンシ・ファミリーからアメリカ人オーナーに変わった事だ。彼らはローマを3,4年後には世界1のビッククラブにすると強気な発言。実際にこの夏に大幅に戦力獲得をした。
早い時期にオランダ代表GKマールテン・ステケレンブルク、スペイン期待のSBホセ・アンヘル、豊富な経験を持つガブリエル・エインセ U20大会で圧倒的な存在感を示したアルゼンチン期待の星エリック・ラメラ それからバルセロナからボージャン・クルキッチを獲った。もちろんフィリップ・メクセス ジェレミー・メネズ ミルコ・ヴチニッチといった実力者が出て行ってしまった事実もあるが、移籍期限ギリギリにリヨンでまだ10代だったにもかかわらずトップ下を任されていたミラレム・ピャニッチ それからR・マドリーからアルゼンチン代表MFフェルナンド・ガゴ、かねてから将来を嘱望されチェルシーに引き抜かれていた若手FWファビオ・ボリーニの存在も大きい。
トータルで考えれば明らかに戦力は上がっている。
しかしイタリア紙はどこも今シーズンローマが輝く可能性は低いと見ている。それはなぜか。

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新しく就任した監督、ルイス・エンリケは現役時代R・マドリーとバルセロナでプレーをしており、スペイン代表としても主力として活躍した名選手。しかしセリエAでプレイした経験は皆無。いわゆるイタリアサッカーにコネクションがあるわけでも見識がある訳でもない。
ではなぜ彼がローマの新監督に抜擢されたか。それは新オーナーのアメリカ人が今一番強いサッカーはバルセロナであり、バルセロナの戦術をローマに取り入れるべく、バルセロナBで指揮を取っていたルイス・エンリケに白羽の矢が当たったということだ。
しかしこれはいささか浅はかな考えといわざるを得ない。

もちろんこれだけ戦力を整えたならバルセロナのようなサッカーは実現できるという見方もある。しかし前回の特集でも述べたようにバルセロナのサッカー戦術は的確な判断をしろ、というもの。
幼い頃からバルセロナの下部組織で育ってきた選手ならともかく、ローマのシンボルともいえるトッティや、デロッシ等はローマ下部組織出身であり、彼らに新しい戦術がすんなり受け入れられるかというのが疑問だ。しかしここに関しては非常に明るい見方ができる。それはなぜか。

ローマは以前ルチアーノ・スパレッティ監督時代に好成績を収めた経験があった
その時彼の取っていた戦術は、柔軟性にあふれ常に何通りのシステムを使い分け、選手はスペースに各ポジションに拘らずに選手選手の間に流動的に走り、1トップだったのはMFのトッティで、昨季はウイングのタッデイやマンシーニが1トップをつとめていたこともあったほど。当然上背はなく、ロングボールを蹴ることはしない。低いボールをつないで、中央、サイド突破するというスタイルだった。
このシステムは画期的でよく0トップシステムと話題になったほどだ。

このシステムで実際に毎年2位に食い込み、ラストの年ではインテルと最後まで優勝争いをしていたほどだったから結果がすべてのサッカーでは、トッティもデロッシも多少のいざこざはあれこのスパレッティの改革を選手達全員が受け入れたという経緯がある。

だから今度新しくエンリケ監督がとるバルセロナ流サッカーを彼らが受け入れるだろうというのも比較的楽観視できる問題だ。

ただ話はこれだけで終わらない。ローマには今2つの懸案要素があるといえる。
1つはバルセロナ流サッカーをローマの選手が受け入れたとして、それで果たして実際に試合で勝てるかということ。
もう一つは今回新しく獲得した選手、特にボージャンのメンタル的な問題だ。

まず一つ目から考えていこう。バルセロナの戦術は的確な判断をしろということ。そしてその的確な判断を試合で実行できうる高度の能力を持津選手達がプレイをするというもの。しかしローマで本当に高度な能力を持っているという選手つまりワールドクラスの選手はトッティとデロッシしかいないとイタリア紙は軒並みこう評価している。

Francesco Totti and Daniele De Rossi - AS Roma (Getty Images)

もちろん今回獲得した選手の能力が並だというわけではない。彼らはベテランでも若手でもトップクラスの選手が多い。特に今回獲得した選手ではボージャン、ピャニッチ、ラメラ、ホセエンリケ、ガゴ、ステケレンブルクなどいずれもトップクラスの実力を持っているといえよう。さらに付け加えれば、元々いた選手でもボリエッロ、タッデイ、ペッロッタ、ファン等もトップクラスだろう。

しかしトップクラスではだめなのだ。ワールドクラスの選手がいてはじめてバルセロナのサッカーは機能する。それの典型的ないい例がアーセナルである。アーセナルもトップクラスの選手を多く抱え、戦術は微妙な誤差はあるとはいえバルセロナのサッカーに近いものがあった。しかしアーセナルはパスを回すだけで決定機を作れず、結局引き分け最悪試合を完全に支配していながら逆転負けする場面はなどここ5年間でいやというほど見てきた。

ローマがそれの再現になるという可能性は否定できない。実際にローマが最近行った試合でも、ボール支配率は高いがゴールを奪えず最終的に引き分ける。負けてしまう。ヨーロッパリーグプレイオフで見せた2試合はまさにそんな試合だった。

つまりバルセロナのサッカーを実行するためにはトップクラスの選手ではだめなのだ。ワールドクラスの選手でなければ。エンリケ監督はバルセロナのサッカーをするということに固執しないとインタビューでも答えていた。もっと柔軟にボージャンが不調ならトッティをトップに置く。パス回しが機能しないなら後半途中から戦術を変えるなど。そうすると毎試合の勝利率は確実に上がるはずだ。

それともうひとつ懸念材料は今季間違いなくチームの1番の得点源となるだろうボージャンのメンタル的な問題だ。インタビュー記事を読むと幼い時からずっとすごしてきバルセロナから放出されたというのはやはり本人も相当堪えているらしい。憂き目を食らったエリートが立ち直れるかというのも大きな問題だ。
トッティも故障が多く、ボリエッロとボージャンどちらを先発で使うかとなるともちろんエンリケ監督は同じくバルセロナからきた同じスペイン人のボージャンを使うだろう。そういう意味でも今シーズンのローマの得点力はまさにボージャンにかかってるといえる。まだ若いボージャン、しかもエリートタイプのボージャンが今季どこから本来のポテンシャルを発揮できるかということだ。

これだけネガティブな内容を書いてきたがローマの第1節の相手は格下のカリアリ。さらに監督はあまり実力的には評価されていないドナドーニ。もしカリアリが相手の弱点を突くような戦術を取らず、つまりスペースを与えずガチガチに引きまくるという守備的戦術を取らない限りローマが勝つ可能性は高いといえる。さらに1番大事なのはボージャンが得点を決めるということだ。

El delantero barcelonista Bojan Krkic espera que se oficialice próximamente su pase al AS Roma italiano

ELプレイオフでも何度もシュートをはずし、自信喪失気味ともいえるボージャン。それでもエンリケ監督は必ずボージャンを先発で起用してくるだろう。もし彼が一気に爆発し2点3点でも取れば一気に波に乗るということも考えられる。個人的には今季はローマが一番面白いサッカーをするということは確信している。それが結果に結びつくことを祈るばかりだ。

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