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2011年9月4日日曜日

【特集】王者バルセロナの中で見せるセスクの笑顔と裏の顔

今年の夏に移籍金約40億円でバルセロナに移ったセスク。チームメイトからはお帰り!セスクと祝福されMARCA誌もそれを大々的に報道し、バルセロナのユニフォームを実に9年ぶりに着たセスクの顔は本当に裏も表もない笑顔だった。
「このチームは本当に素晴らしい仲間がいて尊敬できる監督がいて、いつでも僕はバルセロナでプレーをすることをずっと考えていた。今すべてが適って本当に嬉しい」とコメント。



バルセロナはもう3,4年前からずっとセスクを獲得しようと画策してきた。しかし毎年思うように契約は進まず、結局セスクは今年やっと移籍することになった。こうなった理由にはセスクがアーセナルでまだ何もなしえていないから、(タイトルを取れていないから)とかベンゲルが絶対に手放さそうとしなかったとあるが、一番の原因はバルセロナがそれほど積極的にセスクを欲しがっていたわけではないからだと推測する。

その推測の根拠を説明する。アーセナルに於いてのセスクの仕事は中盤を制圧し前線のフォワードへ決定的なラストパスを送る事。なぜならアーセナルにセスクの代わりとなれる中盤の選手はいなかったし、前線には強力なFW陣(アンリ、アデバヨール、ファンペルシー)がいつもいたからだ。しかしバルセロナには既に中盤を制圧できる選手が何人も揃っている。まずいう必要もないがシャビとイニエスタ、少し役割は違うがブスケッツやケイタなど。さらにプレシーズンで調子を上げてスタメン起用が多くなったティアゴアルカンタラはパスセンスに加えて得点能力もかねそろえている。中盤の戦力は十分に揃っているのだ。

だからバルセロナは毎年セスクに興味を持ちながら獲得してきた選手はDFやFWの選手だった。
今回アーセナル側が例年より若干移籍金を下げたことさらに自らの減俸で移籍金を補ってもいいというセスク側の強い思いからようやくセスクのバルセロナ移籍が決定したのだった。

当然セスクはこの経緯がすべて頭に入っている。表の顔で笑顔を見せる。これは本当に紛れもない真実の笑顔だ。しかしいざ試合になるとそこにはスポーツの無残な現実が待っている。
先発でない選手はベンチにすわり、ベンチにもいない選手は戦力外扱いにされるという現実が。セスクはまずはベンチ生活からスタートし、シャビやイニエスタの貴重なバックアッパーとしてやっていこうと思っていたのか。いや裏の顔は違う。

スーペルコパの第2戦で途中出場で初めてピッチにたったセスク。その試合で逆転弾となるゴールの起点を作ったのがセスクだった。この試合は見ていて特に何も感じなかった。セスクが起点となったゴールなんてアーセナルで山ほど見ていたからだ。
しかしスーパーカップのポルト戦で再び途中出場したセスクの動きを見ていたのだがあれ?何かがおかしい・・・何がおかしいのかってチャンス時にはゴール前に絶対に顔を出していたからだ。もちろん中盤でボールを裁く、もしくはスルーパスを狙う。という中盤の仕事もきっちりこなしていたが、チャンスと見るとかならず2列目から飛び出しゴールを狙いに行く。この時点でアーセナルでのセスクを見ていた人ならみんな驚いたはずだ。こんな動きをするセスクを見たことはない!と。結果その試合はメッシからのアシストでセスクはゴールを挙げた。

さらに一昨日の国際親善試合でのチリ対スペインでもこのゲームは前半スペインの動きがよくなくチリに2ゴールも奪われるというひどい内容だった。それでもなんとかポゼッションはするのだが後半からイニエスタとセスクが出場すると少し流れが変わり、まずイニエスタの機を突いたミドルシュートで1点。そして2点目をとったのがセスクなのだがセスクのボールをもらう位置はもはやCFの位置。当然鋭くかつ丁寧なパスを受け取ったセスクはあっさりゴールに流し込む。その後さらにPKをゲットしたスペイン。逆転できる重要な場面で当然F・トーレスかイニエスタが蹴るだろうと思っていたがセスクが自分で名乗って蹴ることに。もちろん外したらいくら親善試合とはいえ後味がわるいものになってしまう。これをセスクは蹴り一度はGKに弾かれたが冷静に流し込み逆転。
(下はそのチリ対スペイン戦)



つまりセスクはバルサにきてからの3試合で3得点。しかも全部途中出場から。
明らかにゴールを狙っているのだ。

スペイン代表としてW杯も優勝しバルセロナもCL優勝果たし、すこしモチベーションの問題が心配されるチームメイトだがこのセスクという男はバルセロナアカデミーで共に同期だったメッシやピケの存在を利用してまで先発出場に燃えていると言うことが分かる。ゴールと言う結果によって。恐らくこの事はグオルディアラもすべて見通しているだろう。
ロッカールームでは和気藹々と過ごし、いざピッチに出るとボールをよこせといわんばかりの2列目からの飛び出しに対してメッシがスルーパスを送ると言う場面は今シーズンバルセロナでよくみるようになるかもしれない。やはりバルセロナは面白いチームだ。

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